キャッシュフローゲームはプレイの回数を重ねるごとに【物の見方・考え方・行動の仕方】が貧乏父さんから金持ち父さんに徐々にシフトしていきます。また、個人差はありますが10回以上やることにより資産売買の判断基準が身に付き、より早くラットレースから抜け出せるようになります。
しかし、もう一段階上のステップに上がるには資産の買い方だけでなく
・借金の仕方
・自分の状況にあった資産の購入の仕方
・周囲の状況を把握し、売れる可能性が高い資産の判別
・資産情報の売買の仕方
についても良し悪しを理解してプレイをする必要があります。
この記事では、キャッシュフローゲーム会を約15年以上主催し続け、数千回レクチャーしている私が、キャッシュフローゲームの上級者となる為の攻略法を徹底解説して参ります。
キャッシュフローゲームで学んだことを現実で活かし、金持ち父さんになりたい方には必見です。
攻略法① 良い借金でお金にレバレッジをかける
先ずキャッシュフローゲームを攻略するために、銀行ローン(借金)を活用する事は必須です。
すなわち銀行ローン(借金)でお金にレバレッジをかけることです。
ここでまず知っておきたいことが “ Leverage”(レバレッジ)という言葉。
“Lever”(レバー = 操作棒)という言葉から連想できるように、これは「テコの原理」のことを指します。つまり「小さい力で重たいものを動かす」ということです。
お金の世界で言い表すと
「銀行ローン(借金)などを活用して自己資金よりも多いお金を動かすこと」
となります。
「自己資金」だけで購入できないものを、銀行等から借金をして購入すること=レバレッジをかけるということになります。
レバレッジについてはレバレッジを知る│キャッシュフロークワドラントB・I側への移行法の記事に詳しく書いていますので、ご参照ください。
「金持ち父さん貧乏父さん」シリーズの著者であるロバートキヨサキ氏は、金持ち父さんになるためにはレバレッジをかけることが大切であると本の中で述べています。
「お金の世界で1番大事な言葉はキャッシュフローで、2番目に大事な言葉はレバレッジだ」
ロバート・キヨサキ
レバレッジをかける場合は、銀行等からの借金(融資)を活用することになりますが、借金には2種類の借金があります。「良い借金は金持ちになり、悪い借金は貧乏になる」というように借金の仕方によって、その後の進退に大きく差が開きます。
良い借金の仕方
当ゲーム会では以下のルールでキャッシュフローゲームを行っています。
※当キャッシュフローゲーム会でのローカルルール
・銀行ローンは1,000ドル単位で金利は 10%
・Big Dealsを引ける条件は自己資金が$10,000以上あること
・自分で引いたカードの資産を他のプレイヤーに売る場合、情報料として頭金の10%を受け取れる。
( 資産を買いたい人が複数いる場合は競りで提示情報料が高い人が購入権利を得る )
良い借金とは
「少ない自己資金でより大きなお金を動かし、良い資産(収入が増えるもの)を買うこと」です。
1つ例を挙げます。
例)$10,000の自己資金とキャッシュフローが$1,500の場合
自己資金:$10,000
現状のキャッシュフロー:$1,500
この状態で以下の3Br/2Ba(意味 3ベッドルーム/2バスルームの売り家)のカードを引いたとします。
このカード、売り家は典型的な「売って儲ける資産」です。
売って儲ける資産である理由は
3Br/2Baは現時点での価格が$65,000で、将来売れる可能性がある金額の幅は$65,000 ~ $135,000です。
つまり、現時点では市場で最安値の$65,000で販売されている状態です。購入後に価格が上がるのを待って売れば必ず儲かる不動産だと判断できます。
資産の買い方の判断が曖昧という方は下記の記事をご参考にしてください。
キャッシュフローゲームの攻略法を大公開!│資産購入の判断基準とは?
さて、この物件 あなたならどのような買い方をしますか?
① 全額自己資金で買いますか?
② 半額だけ自己資金を出して、残りは銀行から借金?
③ それとも・・・?
レバレッジを使って購入するならどう買うか?
もう一度レバレッジについて思い出してみてください。
レバレッジとは、
「少ない自己資金で大きなお金を動かすこと」
もう答えはお分かりでしょうか?
レバレッジを使って購入する場合の答えは
「銀行から全額借金して購入する」です。
さて、それはどうしてでしょうか?
その理由を具体的に数字で追ってみましょう。
借金の仕方の具体例
パターンA:$5,000全額キャッシュで買った場合
購入後
自己資金$10,000 ー 3Br/2Baの頭金$5,000
=残自己資金$5,000
キャッシュフロー:$1,660=(現状のキャッシュフロー$1,500 + 3Br/2Baのキャッシュフロー$160 )
パターンB:$5,000全額銀行から借金した場合
購入後
自己資金:$10,000
キャッシュフロー:$1,140($1,500+$160(3Br/2Baのキャッシュフロー)ー $ 500(銀行金利))
全額自己資金で買ったパターンAはキャッシュフローが増えて良いように感じますよね?
しかし、ここでの焦点は以下になります。
自己資金が $10,000以下になることで生まれる機会損失
①自己資金が$10,000以下になるとROIと売買益の高いBig Dealsのカードが引けなくなる。つまり、より良い資産を買う機会を失うことになる。
②自己資金に余裕がない場合でも、良い資産が多くあるBig Dealsを引いて他のプレイヤーに情報として売ることで、自己資金を増やす機会を失うことになる。
③自己資金でしか買えない株式に投資できるお金が少なくなる 。
上記①②③を順番に解説していきます。
自己資金を減らすと起こる機会損失とは?
①自己資金が $10,000以下になるとROIと売買益が高いBig Dealsのカードが引けない。
Big DealsにはSmall Dealsにはない良質な資産(平均ROIも高く、高額な売買益を得られるもの)が数多く含まれています。
つまり、Big Dealsを引ける状態をキープすることは、より良い資産を買える機会が増えるということです。
自己資金が$10,000を下回るとBig Dealsを引くチャンスを失います。
自己資金として$10,000残しながら上手に借金して資産の購入と売買を繰り返していけば
資産を購入 ⇒ 売却して売買益を得る
⇒ よりROIの高い資産に再投資
これを繰り返すことで、より早くラットレースを抜けることができます。
キャッシュフローゲームで金持ち父さんにより早くなるコツは基本的にBig Dealsを引き続けることです。
②より良い資産が多いBig Dealsを引いて他のプレイヤーに情報として売るチャンスを失う。
もし、仮にBig Dealsで購入できない高額な資産を引いたとしても、これを他のプレイヤーに売ることもできます。
Big Dealsでより良い資産カードを引くことで、資産売買斡旋の情報料でお金を稼ぐことが可能です。
情報料で稼ぎ、自己資金を増やしたり、借金をコツコツ返していくのも時には有効です。
現実社会でもそうですが、情報がお金に変わる時代になりました。戦略的に情報発信した人は、このような形でもお金を得ることができます。
③自己資金でしか買えない株式に投資できるお金が少なくなる 。
投資したい株が来たとき、自己資金が多いと投資できる額が増えます。投資できる自己資金が多い分だけリターンが増えます。
仮に自己資金が下記のようにAとBの場合に全額で買った株が4倍の価値になったとしましょう。
Aの自己資金:$5,000→$20,000
Bの自己資金:$10,000→$40,000
$20,000の差がここで生じます。銀行にフルローンした$5,000を返済してもAよりも+$15,000です。
いかに少ない自己資金で大きなお金を動かすかがポイントです。
攻略法② キャッシュフロー目的の資産購入時は、手元の資本状況に注意
キャッシュフローゲームの攻略法を大公開!│資産購入の判断基準とは?の記事内でも説明していますが、良い資産の判断基準は、
・ROIが平均の38%以上か
・売ると次の投資に有効な利益が作れるか
のどちらかを満たしていることです。
また、記事内では、
・チャンスだと思ったら、とことん投資する
と書いてありますが、上級者となるにはチャンスだからといって、盲目的に投資をしてはいけません。
特にキャッシュフローを増やす目的の資産を購入する際は、
・自己資金、または売り目的の資産が十分にあるか?
を確認し、購入するか判断しましょう。
1つ例を挙げます。
例)自己資金もキャッシュフローもギリギリの場合
自己資金:$10,000
売り目的の資産:なし
キャッシュフロー:$1,500
総支出を超える不労所得まで:あと$3,000
この状態で以下の資産を購入するチャンスがあるとします。
上のカードが「キャッシュフロー目的の資産」、下のカードが「売り目的の資産」です。
どちらも目的がはっきりと分かる、典型的な資産です。
さて、あなたはどちらを購入しますか?
総支出を超える不労所得を増やすために、キャッシュフロー目的の資産を購入しますか?
それとも自己資金を増やすために、売り目的の資産を購入しますか?
答えは「売り目的の資産を購入する」です。
なぜでしょうか?
その理由を具体的に数字で追ってみましょう。
次の資産購入に繋がる判断をしよう
※資産を購入する際は、自己資金を$10,000残し、Big dealsカードを引ける状態を維持すると仮定します。目的は情報料で稼げるチャンスを維持し、より早くラットレースを抜ける状況を作る為です。よって全額銀行から借金をして購入します。
A,オートメーションビジネスを購入した場合
自己資金:$10,000
手持ちの売り目的の資産:なし
キャッシュフロー:$200 ($1,500 + $2,700(ビジネスのキャッシュフロー) - $4,000(銀行金利))
B,四世帯集合住宅を購入した場合
自己資金:$10,000
手持ちの売り目的の資産:なし
キャッシュフロー:$300 ($1,500 + $800(集合住宅のキャッシュフロー) - $2,000(銀行金利))
キャッシュフローの金額に注目してください。
購入した後のキャッシュフローの金額に大きな差がないことが分かります。
では、なぜ売り目的の資産である四世帯集合住宅を購入するという結論に至ったのでしょうか。
違いはカードの内容にあります。
オートメーションビジネスは「他に買い手は見当たらない」と書かれており、買い手を見つける事ができません。
四世帯集合住宅は「$100,000~$140,000で売れる可能あり」と書かれており、売ることが出来ます。
それに集合住宅はマーケットにおいても購入したい人が多く、現金に変えやすい不動産です。よって、四世帯集合住宅を購入すべきと判断しました。
その理由は、次の資産を購入するために自己資金を増やす必要があるからです。
キャッシュフローゲームの目標は
「不労所得が総支出を超えること」
なので、資産を購入して、不労所得を増やす必要があります。
しかし、資産を購入するには手持ちの資金が必要になります。
現在、手元の資金は$10,000のみで、売り目的の資産もありません。この状況で、売ることができないオートメーションビジネスを購入すると、次の資産購入に繋げるまでに時間がかかります。ですが、流動性のある四世帯集合住宅なら、自己資金を増やせる可能性があるので、次の資産購入に繋げることが容易です。
この例のように、良い資産かどうかの判断だけでなく、
自己資金や資金を作れる資産が手元にあるかを理解した上で、判断する必要があります。
攻略法③ 自分だけでなく、周囲の状況も捉えながら判断をする
キャッシュフローゲームは自分以外のプレイヤーが引いたカードでも、自分に影響を与えるカードが存在します。
「Small Dealsに存在する株・投資信託」
「The Marketカード」
などがそれらに該当します。
なので、自己資金や資産だけを把握するのではなく、
「自分以外のプレイヤーの手元の資金状況(Small Dealsを引くしかない状況か)」
「The Market や Opportunityで出たカード」
などに加え、
「サイコロを振る順番が1周するのにかかる時間」
にも注目し、周囲の状況を把握しておくことが上級者になるためには必要です。
周囲の状況を把握することで、
・Small DealsとBig Dealsのどちらを引いたら、よりチャンスなのかが分かる
・マーケットのカードが何回引かれるか予想することが出来る
などを理解することが出来ます。
1つ1つ解説していきます。
Big DealSが引けるのに、あえてSmall Dealsを引く理由
例)あなたを除いたプレイヤー全員が自己資金 $10,000未満の場合
プレイヤー:6人
自己資金が$10,000未満のプレイヤー:5人
あなたの資金:$10,000
あなたの資産:なし
あなた以外のプレイヤー全員がSmall Dealsを引いている状況です。
さて、この状況であなたはSmall DealsとBig Deals、どちらを引きますか?
お金とキャッシュフローを両方とも増やすチャンスが多い、Big Dealsを引かれるのではないでしょうか?
それも1つの手段だと思いますが、私ならあえてSmall Dealsを引きます。
それは、なぜか?
株・投資信託など、自分以外のプレイヤーが引いたときにも売ることが出来る資産を購入するためです。
あなた以外のプレイヤーは全員、自己資金が$10,000未満なので、Small Dealsしか引くことが出来ません。
この時にもしあなたが株・投資信託を持っていれば、売ることが出来る確率は、自分1人の力で株・投資信託を売ろうとしたときの6倍になります。
また、手持ちの資金が$10,000しかなく、資産もない状態でBigDealを引いたとしても、
・すぐに手持ちの現金がなくなる
・レバレッジをかけすぎてキャッシュフローの金額がマイナスになるほど、銀行から借金をしてしまう
など上記のような状況になり、SmallDealに戻ってしまう可能性が高いです。
よって、株・投資信託を売ることによって、手持ちの資金が増やせる可能が高いSmallDealをあえて引く、という判断を行います。
ギャンブル性が強い不動産を購入する理由
例)ギャンブル性の強い不動産を購入することが出来る場合
自分の手持ちの資金:$5,000
キャッシュフロー:$2,500
プレイヤーの人数:6人
サイコロを振る順番が一周するのにかかる時間:1分
このカードはキャッシュフローが存在しないので、売り目的の不動産になります。
カードにはいくらで売れるか記載されていませんが、$150,000というとんでもなく高い金額で売ることが出来ます。
ですが、売れるチャンスは42枚ある「The Market」カードの中に1枚しか存在しません。
早めに売れればとてもラッキーですが、ゲーム終了間際に売れれば払った$5,000が無駄になってしまいます。
投資、というより投機、つまりギャンブルになります。
さて、このカードを引いた場合、あなたなら買いますか?
「ギャンブルは嫌い」
「堅実に投資をしたい」
という方であれば、このカードは買わないという判断をするでしょう。
ですが、そんな方でもこれは購入するべきカードです。
それは、なぜか?
それは周囲の状況を見ると、「The Market」マスに止まる確率が高く、売れる確率が高いからです。
具体的に数字として表してみます。
ゲームのプレイ時間は90分
サイコロを振る順番が一周するのにかかる時間は1分
プレイヤー数が6人なので、サイコロが降られる回数は1周につき、6回
ゲーム中にサイコロが降られる回数:540回(6 × (90 / 1)
=(プレイヤーの人数 (ゲームのプレイ時間 / 順番が一周するのにかかる時間))
Downsizedは考慮しないで計算すると、サイコロは540回振られます。
540回サイコロを振って、出た目が「The Market」マスに止まるのは何回でしょう?
相当な数あると思いませんか?
「The Market」カードは引いたら山に戻ることはないので、カードが引かれるたびに売れる確率は上がっていきます。
なので、ギャンブルとはいえ、売れない確率より売れる確率の方が高いから購入する、という判断になります。
もし、このカードを売ることができ、$150,000を手に入れることができれば、総支出が高い職業でも、BigDealで資産を購入し続けることによって、簡単に目標を達成することが出来ます。
周囲の状況を把握することにより、お金を作りやすい資産か判断できる
このように一見チャンスだと思えない、
・BigDealを引けるのに、あえてSmallDealを引く
・ギャンブル性の高い資産を購入する
などの判断も周囲の状況を把握することができれば、立派なチャンスだと気づけます。
このようなチャンスを見逃さないためにも、周囲の状況は把握するようにしましょう。
まとめ/キャッシュフローゲームは思考を深めるトレーニング
この記事のポイントをまとめると以下の5つです。
⒈資産は出来る限り借金で購入(レバレッジを効かせる)
⒉自己資金を出切るだけ早く$10,000にして、高い収益を得られるBig Dealsを引く
⒊$10,000を保ちつつ資産購入 ⇒ 売買益で資金を増やす ⇒ ROIの高い資産に再投資、このサイクルを意識する
⒋キャッシュフロー目的の資産購入時は、手持ちの資金や資産状況を確認し次の資産に繋がるよう購入する
⒌周囲の状況を確認し、ギャンブル性の高い資産でも売れる可能性が高い場合は購入する
是非キャッシュフローゲームで実践してみてください。この方法を身に付けることで、キャッシュフローゲームでの勝率は大きく上がります。
そして何より、この考え方でキャッシュフローゲームを繰り替えし行えば、投資に対して数字で根拠を持つような深い思考を身に付けることができます。
なんでも成功を収めるには再現性が非常に重要です。
再現性を持つためには1つ1つの行動に根拠を持てるようなロジカルな思考も必要です。
特にお金の管理や数字に弱いという方にとっては良い訓練になります。ゲームとして失敗のリスクがなく、体験的に知識を身に付けられることが何よりのメリットです。
是非キャッシュフローゲームを繰り返し行い、思考の変化を体感してみてください。